1日目
〜 出発までの葛藤 〜
その日は午後7時半から区会議員として定例会議が入っていた、4月から自分の住む区の議員になった為
何かと不便な想いをしつつ、それを楽しんでもいます。
土曜日から月曜日にかけての3連休に福島県で毎年開催されるライダーミーティング、数年前に一度参加して以来
ご無沙汰していいるので今年は一時間でも参加したいと思っていた。
理想では金曜日夜に出られれば初日・土曜日から参加出来ます、しかし会議は土曜日の夜からです、
土曜日は諦めて土曜日早朝出発すればいいか、となんとなく考えていたところ主催者の「日曜日は朝から
みんなで林道を走りましょう」のコメントに「だったら間に合わないじゃん」となる、「あぁ〜 もうぉ」とジタバタして
「よし、会議が終わったらすぐに出よう、深夜走れば朝までに着ける!」
そう決めて準備を始めた。
ミーティングの一週間前から仕事をサボり、バイク整備に力を注いだ、懸案だったフォークのOHも終えヘットライトも
バハライトの丸目2灯HIDとした、スクリーンやグリップヒーターも取りつけた。
前日の深夜まで作業をし、当日(土曜日)も夕方まで整備に追われた、とても荷物を準備している時間はない、
数日間家を空ける為、残す家人の為に食料などの準備をしなくてはならない、たぶんコレが一番の負担だ。
さぁ出発当日だ、バタバタと家の事で走りまわり夕食を済ませ夜7時半に公民館へ出かけた、10月に行われる
スポレクや体育祭に関しての議論がのろ〜ん・のろ〜ん、焦っても仕方がないのです。
予定の9時を過ぎ、9時半に会議は終了した、「一杯どうだ?」の誘いを巧みにかわし、急いで帰宅した。
取りあえず先に風呂に入り、早々と部屋に戻りようやく荷物を揃え始めた、今までにない遅さである。
今年はある野望を持っていた。
社会的には3連休ですが「せっかく福島まで行くのなら山形まで足を延ばしてみよう、山形の友達に会いに行こう」。
ミーティングに参加するだけなら荷物はさほど要らないだろう、しかし未知なる陸奥、何があるか分からない。
一通りの荷物を引っ張り出してみた、パッキングのメーンはパニアケースと振り分けバック、それに予備に防水バックを
持っていく事にした、パニアは当然、振り分けバックも簡易防水だが防水バック一つあるとかなり気が楽になる。
それらを玄関に降ろす、家人は寝ているようだ、整備済みのバイクは車庫から出して置いたのでそのまま荷物を
カチカチとくっつけて行くだけ、プラモデルより楽だ。
そしていよいよ300キロ彼方の木賊への一歩を踏み出した、ずっしり重いバイク、ツーリングの出発はいつもこうだった。
23:35
すでに仲間は寝ているのだろうか、30mバイクを押して広い道でキーを入れる、チョークを引いてキュルル、
重い眠りから目覚めるピストン、二度寝を決め込もうとするが容赦なく叩き起こした、軽く煽りさぁ出発だ。
薄曇りにハチマキをした月が浮かぶ、そんな夜だった。
〜 暇過ぎる一人走り 〜
車が少ない夜間は遮る者さえ眠りについたように、すいすいと走らせてくれる、石和町から山梨市、塩山市
R141の雁坂トンネルまでの登り坂では4トントラックに追いかけられ、まるで鬼ごっこしているかのようで
ちょっぴり楽しく走る、トンネルの手前では気温18度を示していたがまだ寒いなとは思わない、しかしココで新兵器の
グリップヒーターを稼動させるとすごく幸せな気持ちになれる。
長い長いトンネルでトラックに追いつかれ、トンネル出口の急な下りで引き離す、キャンプ道具満載のバイクでは
タイヤが歪むような不安感を伝えてくる。
ライトのロー側をHID、ハイ側をH4にしてきたが、H4バルブが全然機能せずに暗くてコーナーの先が見えにくく
危うく鹿にぶつかりそうになった、鹿もさぞかし驚いた事だろう。
大きなダムのコンクリート壁を見たのは出発して1時間半の事だった、ここはライトアップされていると綺麗なんですよね。
01:20
道の駅・荒川にトイレ休憩に寄った、調子の悪いポータブルGPS・Mioにリセットをかけた。
寝静まりかえった集落にポンポンポンと乾いた排気音を残しながら10分後スタンドを蹴った。